マイナタッチにおける保険証OCR不具合発生
1. 概要
事務内で保険証OCR専用に使用しているマイナタッチにおいて、「今朝から保険証が読み取れない」という報告があった。調査の結果、OCR処理時に通信不良が発生している可能性が高いことが判明した。本件の経過および対応内容を以下にまとめる。
2. 事象の詳細
対象端末では、保険証を挿入すると「券面を読み取っています」という表示のまま処理が停止し、長時間経過後に「ALM2001 USB接続エラー」が発生した。なお、OCR操作前の段階ではマイナタッチ自体は正常に動作しており、通常のマイナンバーカード読み取りは問題なかった。したがって、OCR処理時に限定して通信エラーが発生している状態と考えられた。
3. 切り分けおよび対応経過
- メイン端末での動作確認
メイン端末(apx-medical)につながっているマイナタッチでは、OCRは正常に動作した。 - 事務PCでの再試験
メイン端末のマイナタッチを事務内PC(liva z3)に接続すると、再びOCRが停止。予備のマイナタッチに交換しても同様の不具合を再現。
→ 事務内PC側の環境に起因する可能性が浮上。 - PC交換
事務PC(liva z3)を予備の liva に交換したところ、当初は数件正常に読み取りできたが、その後同じ症状が再発。
→ 再現性があり、恒常的な通信不良の疑い。 - ケーブル交換
USBケーブルを交換したところ、同様に一時的に改善したが、再び停止。
→ ケーブル単体が原因ではないと判断。 - 新規PC導入による検証
姑息対応はあきらめて、新規PC(N100)を調達し、オン資をインストールしたところ、問題なくOCRが動作。
→ ハードウェアまたは通信制御の相性要因の可能性が高い。
4. 追加検証
後日、liva z3 および予備 liva を用いて再度検証を実施。いずれの端末でもUSB接続エラーが再現した。調査の結果、マイナタッチとPC間はCOMポートを介したシリアル通信で動作しており、この通信設定に起因する可能性が考えられた。
Web上の情報を参考に、シリアル通信の bm設定値 をデフォルトの「16」から「1」に変更したところ、エラーが解消し正常にOCRを読み取ることができた。設定を元に戻して(bm=16)再試験してみたが、正常に動作しエラーは再現しなかった。
5. 考察
原因はシリアル通信まわりの不安定動作である可能性が高い。設定変更により通信ポートが再初期化され、一時的に安定化した可能性がある。 PC(特にLivaシリーズ)とマイナタッチ間のUSBシリアルドライバの相性、または一時的なポート不整合が疑われる。
6. 現状および今後の対応
現在、新規導入PC(N100)上では問題なくOCRが稼働中。 旧 Liva 端末については、シリアル通信環境の不安定要因を引き続き調査予定。 必要に応じて、bm設定変更の恒久化などを検討する。
7. まとめ
本件は、マイナタッチのハードウェア故障ではなく、特定PC環境におけるシリアル通信エラーが主因と推定される。設定変更による一時的な改善を確認したが、根本原因の特定には引き続き検証が必要である。


